紫苑の香りに導かれて

キャッチコピー:
その日、不思議なアプリが示したのは、あなたの存在でした。

あらすじ:

都会の喧騒の中、どこか物足りなさを感じながら生きていた、蒼井遼と野宮千早。

「あなたの心を整理しませんか?」

そんな言葉に惹かれ、二人は偶然にも同じタイミングで、謎めいたアプリを使い始める。アプリの中で、遼は「
琳琅(りんろう)」、千早は「風雅(ふうが)」という、美しくも不思議な言葉を授かった。

その日から、二人の世界は少しずつ変わり始める。

カフェで、図書館で、雨上がりの道で。まるで運命に導かれるように、何度もすれ違う二人。言葉を交わしたことはな
いのに、なぜかお互いの存在が強く心に残る。そして、すれ違うたびにふわりと香る、甘く切ない紫苑(しおん)の花
の香り。

「今の人、どこかで会ったような…?」
「なぜだろう、あの人のことが気になる…」

ある日、遼が訪れたカフェ。店員として働く千早と、客として訪れた遼。小さなアクシデントをきっかけに、ついに二
人は初めて言葉を交わす。その瞬間、お互いから漂う紫苑の香りに気づき、ハッとする。

「もしかして、あなたもを…?」

アプリが示した不思議な言葉が、現実世界で交差する。紫苑の香りが繋いだ運命の恋が、今、静かに始まろうとしてい
た。